保険仲立人によるコラム 2018.9.1

海外PLと付保規制①


メジャーリーグで野茂秀雄投手が日本人初の新人王に選ばれた1995年、日本において製造物責任法いわゆるPL法が施行された。製造物が原因で事故が起こった場合、消費者が製造物の過失を立証しなければならず損害賠償請求を起こすのに高かったハードルが撤廃され、消費者はただ事故が起こったことを立証するだけでよくなり、製造業者が無過失責任を負うことになった。


この際、消費者は製造者・販売者・輸入業者のいずれに対しても損害賠償請求を起こすことができ、製造・流通に携わる者にとってPL保険は事業を営む上で必須のものとなった。また昨今のグローバル化に伴い商品の製造・流通の過程は国のボーダーを超えることもあたりまえとなり、日本国外へ輸出をする企業にとって海外PL保険は必須となっている。



そして時代の流れと共に商流はますます複雑になり、日本企業が労働力の安い海外子会社を作り製品を生産し流通・販売するなど、国を超えた様々な流通形態が行われるようになった。同時に製造物責任についてもそれぞれのケースに対応したリスク対策が必要となってきている事は言うまでもない。


海外には「付保規制」という自国の経済保護の為の保険手配について定めたルールがあり、その付保規制によって、国によっては日本の親会社で手配した保険で海外子会社では「保険金の受取」「保険会社の損害サービス」「日本の親会社から現地子会社へ保険金の送金」が全て或いは一部禁止されている。この付保規制は海外PLだけでなく全ての保険種目について適用される。

【下記は付保規制の1例】
  日本からの保険手配 損害サービス 保険金の支払い及び送金
A国 ×

×

×
B国
C国 ×

D国

× ×


海外PLの手配や海外子会社の保険を日本の親会社で手配することは比較的容易だが、この付保規制についての確認を怠ると損害賠償請求など、いざという時に保険対応ができず特別損失の計上など大きな損失を受ける可能性もある。

 

  ― 付保規制のある国での保険手配 ―




保険の現地手配

付保規制のある国について現地証券(ローカルポリシー)の発行ができる保険会社との間で親会社にて手配

現地手配の場合、コストは安く抑えられるかもしれないが、親会社でのコントロールが効きにくいので、適正な内容で補償がついているか、保険が切れていないかなどの管理面に不安が残る。特に会社法改正によりコーポレートガバナンス、コンプライアンス体制の構築といった内部統制システムが重要視されるようになってからというもの、現地任せでは企業のガバナンスを疑われかねません。

上記のようなこともあり、グローバルな対応(ローカールポリシーの発行等)のできる保険会社に親会社で契約しておく選択肢も是非検討すべきでしょう。企業のリスクマネジメントにおいて知らなかったは任務懈怠とみなされるだけではなく、企業の存続にとって致命傷となり得る事も認識しておく必要があると言えるでしょう。



※企業のリスクマネジメントにお役立ていただくことを目的として情報提供させていただいております。
※事案等の正確性を保証するものではありません。また、事案そのものに対する批評その他を意図したものではありません。

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