保険仲立人によるコラム 2018.7.1

他人事ではありません その⑧<最新判例から考える労働法>


【判例1】〔平成29年10月高裁判決〕

うつ病で休職していた従業員が職場に復帰したものの、その指導係からパワハラを受け、そのことを会社 に伝えていたにもかかわらず、職場で十分なフォローしてもらえず、結果として自殺してしまった事案。


会社が事実確認や加害者への指導、配置転換などといった適切な対応を取らなかったことを理由に、職場環境調整義務違反(安全配慮義務違反とも言う)が認められる、とした裁判例があります。






この事案では、うつ病だったことや同居する家族が自殺を止めることもできたのではないか、ということから、損害額について7割の過失相殺による減額が認められました。それでも1,000万円近い損害について賠償する責任があるとされました。

◆ポイント◆ パワハラの事例で、最近増えているのは、パワハラをした上司などの責任だけではなく、その解決のための十分な配慮や努力を怠ったことについて会社の責任を問われるケース。


【判例2】〔平成28年11月29日地裁判決〕

セクハラ事件についても同様で、加害者だけでなく、会社も直接に責任を問われることが、ある意味当然のことになってきています。


平成28年11月に、ちょっと変わった事例ですが、男子生徒が男性講師のお尻に触ったことがセクハラとして、少額ではあるものの賠償責任を認めた事案もあります。

学校法人は、その後の調査の不合理さやトラブル解決という観点からの不十分さを理由に、やはり責任を負担すると判断されました。 しかも、直接の加害者より学校法人の義務の方が、高い賠償額が認められました。

◆ポイント◆ 会社側としては、第一報を聞いて、たいしたことではないという印象を受けたとしても、結論を急がず、きちんと事実調査をし、慎重に判断するべきだということが言えるでしょう。


その他にも、最近の労働で問題になった事案として、NHK受信料の集金や受信契約の締結を行う地域スタッフが、勤務成績不良を理由に契約期間途中で契約(有期委託契約)を解約されてしまった、というケースがありました。裁判所は、有期委託契約なら大丈夫ということではなく、契約の実態を良く観察すれば、雇用契約として判断されるとして、雇用契約を打ち切るだけの事情がない、という結論を導きました。

労働問題では、使用者側にとって不意打ちになるような判決も少なくありません。普段からの労務管理は勿論ですが、特殊な事案については、十分に訴訟リスクを把握しておく必要があります。訴訟リスクとは、敗訴のリスクだけでなく、提訴されるリスクも重要です。


特にパワハラ事案では、せいぜい100万円程度の賠償に止まるような事案でも、何年も争ってくる当事者は少なくありません。そういった事案では、判決文も何十頁にもなるようなケースがあります。どこを落としどころとするか、加熱しないようにするにはどうしたらよいか。交渉段階では、弁護士が代理人になって表に立たない方がいいパターンもありますが、それでもアドバイスは受けるべきだと思います。



【執筆者:本江嘉将 弁護士法人 本江法律事務所 代表】
企業法務(労務関係・債権管理・IT関係その他)、事業再生・債務整理(破産・民事再生・任意整理その他)ほか
www.motoe-law.jp



※企業のリスクマネジメントにお役立ていただくことを目的として情報提供させていただいております。
※事案等の正確性を保証するものではありません。また、事案そのものに対する批評その他を意図したものではありません。

「法人保険コンサルタントコラム」一覧へ戻る
お気軽にお問い合せください

経験豊富な企業保険専門のスタッフが貴社のリスク対策・保険料削減を親身にサポート致します。

フォームによるお問い合わせTEL 092-502-4002 FAX 092-502-4066
保険仲立人によるコラム
弊社の事故対応について
弊社スタッフ紹介
媒介実績のある保険会社
採用情報

株式会社 エヌ アイ ビー

〒812-0014 福岡市博多区比恵町1-30-202
TEL: 092-260-9102 FAX: 092-260-9103
財務省福岡財務支局長登録:第4号 蔵銀第1427号
勧誘方針プライバシーポリシー