保険仲立人によるコラム 2013.3.1

自殺対策強化月間<増加する過労死や精神疾患>


情報処理システム会社の福岡事業所に勤務していたシステムエンジニアの女性(当時31歳)。急死したのは過酷な労働が原因として、両親が勤務先に対し慰謝料など計8,200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2012年10月11日、福岡地裁であった。裁判官は「死亡と業務の間には因果関係がある」として、同社に約6,800万円の支払いを命じた。

 

福岡中央労働基準監督署の認定によると、女性は顧客企業の人事管理室システムの改修を担当。追加・変更など当初の予定より業務量は大幅に増えたが増員はなく、時間外労働が月127時間に及んでいた。納期目前に急遽、顧客の前で行われたテストでプログラムが全く動作せず、責任を感じた女性はほとんど不眠で作業を続け、精神的にも追い詰められ、発作的に会社から飛び出し自殺を図ったものの未遂に終わった。


その後、会社側から具体的な指示もなく自宅待機が続き、約1か月後、急に出社を求める連絡があり、復職初日から未明まで残業。翌朝には東京へ出張し4日間働いた後、宿泊先で亡くなっているのを発見。死因は致死性不整脈。両親は女性が亡くなって初めて過酷な勤務実態を知った。上司は自殺未遂のことを本社にも報告しておらず。福岡地裁は、時間外労働の増加や精神的緊張を伴う特に過重な業務だった。復帰後に勤務の軽減措置も講じていないとし、会社の賠償責任を認めた。(平成25年2月25日、西日本新聞より一部抜粋)

ここまでのケースは稀かもしれないが、労災の認定基準が明確化され精神疾患や過労に対する労災認定がされやすくなったことは事実である。厚生労働省のまとめからも死亡前1か月の平均残業時間が80時間を超えると脳・心疾患での労災認定の支給決定が途端に多くなっている。中小零細企業において月平均80時間の残業というのは、一般的な印象を受けるかもしれないが、もし従業員が脳・心疾患が原因で死亡し、過労死ではないかと労基署に駆け込まれれば、企業としてはかなり不利な状況に置かれることは間違いない。

 

上記事案でも、上司は本社への報告を怠っていた。経営者は知らなかったとしても経営者としての管理責任・使用者責任を免れるものではない。最近は労災上乗せ保険に使用者賠償を付けるケースが多くなっているが、このような過労や精神疾患による自殺などの経営者責任をヘッジする上で、今後は必須の保険(特約)といえるだろう。

 

保険による賠償金の支払いはともかく、保険会社の過去の事例等による事故対応のノウハウを使用できるという点も利用価値が大きいと言える。外資系保険会社の中には、経営者に対してメンタル不調の従業員への対応就業規則上の問題解決を臨床心理士、社会保険労務士などがアドバイスするサービスを保険に付帯している商品もある。リスクマネジメントという観点からすると、このようなサービスを利用して被害・損害を抑え、それでも回避できなかった損害を賠償保険という保険で金銭的に負担する仕組みは企業・保険会社どちらにとっても有益な事だといえるだろう。

 

言うまでもないが、最も大切なのは、このようなことが発生しないようにすることだが、事業を行っていると思わぬ事態に遭遇することは多々あることで、その万が一に備える手段としての保険は、リスクを転嫁させる上では、やはり王道だといえるだろう。

 


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